風邪で有給休暇

 

養生をしていても年間に何回か風邪をひいてしまうという人は多いわけですが、

 

  • 欠勤となってしまう
  • 有給休暇を使える

 

というのは会社によって随分と違うと思います。

今回は有給休暇と風邪の法律問題について説明をしたいと思います。

 

労働基準法での有給休暇の取得理由

 

有給休暇については第39条に定めがありますが、この条文を見てもらうとわかりますが取得理由うんぬんについては一切の定めもありません。

「理由」という言葉さえもないことがわかります。

唯一第5項に

「労働者の請求する時季に与えなければならない」

というような内容があって、これは時季指定権といわれます。

つまり原則は労働者が指定する日に有給休暇を与えないといけないということです。

これについて会社には拒否権はなく、時季変更権しかないというように定められています。

有給休暇の拒否を会社はする権限はない

つまり労働基準法において理由の定めがないということです。

有給休暇については行政では取得理由を強制して聞き、それによって取得を認めるかどうかということは認めていません。

また判例でも同様の判断となっています。

 

昭42.10.12 大阪地裁 久保田鉄工事件

労働者が利用目的を偽ったとしても、その休暇取得により所属事業場の事業の正常な運営を阻害するに至るべきことを秘匿したものでない限り使用者は休暇承認後にこれを取り消すことはできない

 

理由を聞くのは任意であり、それが風邪かどうかはどちらでも良く、原則として有給休暇は取得させるということに違いはありません。

有給休暇取得時に嘘の理由にすれば重大な違法行為になるのか?

 

有給休暇の取得手続きと就業規則

 

ただししっかりとした企業であれば就業規則が規定されているはずです。

そこには有給休暇について

「5日前までに申請しなければいけない」

というような規定などが置かれていることが多いのではないかと思います。

有給休暇とは労働基準法に定めがあるわけで、あらためて就業規則に規定しなくても良いように思いますが、

 

  • 有給休暇の事前申請の手続きを導入する
  • 個別管理や基準日方式など付与のタイミングを決めることができる

 

といった点で急に有給休暇を申請されて仕事が回らなくなる、また毎月のように誰かに有給休暇が発生し給与計算で苦労するということを避けるという意味で就業規則に規定を行います。

有給休暇の一斉付与のポイントを徹底解説

有給の事前申請は違法かというようなことを考える人もいるようですが、判決でも事前申請を合理的に規定するのであれば違法ではないとしています。

就業規則の有給休暇の規定のポイント

 

風邪での有給休暇の使い方

 

風邪や病気といったときに困るのは

「いつ風邪にかかるのかわからない」

ということです。

しかし上記のように就業規則で申請の事前手続きを規定されていれば法的にそれに従うしかないということになります。

そのため常識的に考えれば風邪で有給を使えるとすれば

 

  • ここ最近風邪でしんどいので近いうちに有給申請をする
  • 毎年特定の時期に風邪にかかるので有給を申請しておく
  • 特定の時期に定期的に医師に診断を受けるので申請する

 

というようなことになります。

ほぼ計画的に風邪で有給というのは無理かもしれません。

朝起きていきなり風邪をひいていることに気づくこともあります。

この場合、就業規則で事前申請を規定していれば原則として有給休暇の扱いとはなりません。

それでも有給休暇になるという場合とは

会社が当日であっても有給休暇にすることを認めること

が必要となってくるということになります。

一見、このような対応は良心的な企業のようにも思えますが、デメリットもあります。

たとえば

 

  • 就業規則に事前申請の規定をする
  • 有能なAさんが風邪で当日申請をしてくるので認める
  • ずる休みの常習のBさんも翌日に当日申請をしてきた

 

この場合、就業規則に規定があってもAさんには認めているわけです。

Bさんの場合も規定があるからと認めないという対応は違法的といえます。

つまりBさんも平等に当日申請を認めないといけないということとなるということです。