昇進を断る労働者

 

昭和の時代は昇進といえばほとんどの人が喜び、新しいポジションを受け入れたといわれています。

しかし時代も変わり、会社の昇進の内示の段階で拒否されてしまうということもある時代です。

会社としても昇進だからどんな手続きや流れでも良いだろうという考えでは通用しない時代ともいえます。

 

誰もが昇進をしたくない会社

 

これはある会社で実際にあった話ですが、

 

  • 基本的には誰も昇進したくない
  • 昇進すれば給与が少し上がる程度で責任もきつく休日も出てこなければいけない
  • 何年かに一度上から退職していってそのうちに昇進に値する社員がいなくなった

 

ということもありました。

この会社では昇進した課長職の人が定期的に退職していって、そのうちに課をまとめる人もいなくなったというあまり笑えない話ですが、みなさんもひょっとすれば経営者の目からは見えていないことが多いのですが、絶対に昇進したくないと一般の労働者の方に強く思われてしまっているかもしれません。

昔の昇進といえば給与も一気に上がるのが普通でしたが、最近では割に合わないと多くの人が感じるような「昇進」も多いのです。

昇進についは給与体系を少し考えるだけで定着率が上がることもあります。

昇進とは名ばかりの、責任の重い仕事を安い給与で押し付けるような「昇進」には特に気をつけましょう。

そのような様子を見た一般の労働者も数年で退職する計算をしている人も多数出てくるはずです。

 

昇進についての法的規制

 

ただし労働基準法をはじめとした昇進についての一定の規制はあります。

これらの規制に該当したような昇進の場合には無効となる可能性もあるということです。

 

労働基準法第3条

  • 国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

 

男女雇用機会均等法第6条

  • 性別を理由とした差別の禁止

 

などが特に重要な条文といえます。

 

法的には昇進命令も断ることはできない

 

さて昇進も異動命令の2つであることは間違いありません。

そして異動は会社に広範囲な権限が認められています。

昇進を断ったケースの裁判というのもそう多くはないように思いますが、今回のように誰が見ても受けたくないような昇進についても断ることはケースによっては普通解雇に該当することもあると思います。

ただしこのような場合にはすぐに解雇を告げてというのは愚策であり無効となるといえます。

また判例上調べてみましたが、昇進拒否を普通解雇としてそれについて争われたものはないように思いました。

そのため昇進も業務命令として懲戒処分とそして解雇に該当することは考えられるとしても、まだ確実に司法の判断は固まってはいないということも覚えておいてください。

 

  • 何度か昇進をしてもらいたい人に打診する
  • その都度打診の内容やその反応を記録しておく
  • 何度も打診しても受けてもらえないとなって初めて解雇を検討する

 

といったような慎重な対応が求められると思います。

またここまで柔軟な対応をしていても昇進を拒否してくるというのは冒頭のケースのように昇進後の仕事内容や給与などの待遇に魅力がないこともあるといえます。

そのためただ打診するだけではなく、毎回給与の交渉、仕事内容の調整といったような昇進させたい労働者との条件のすり合わせもしていきましょう。

トラブルとなったときにはこのような柔軟な対応をしたという会社の姿勢も評価されることはあると思います。

昇進を拒否すればすぐに解雇を検討するような安易な対応は慎むようにしましょう。

まずは昇進について該当する労働者との話し合いや調整を行って、昇進を受けてもらいやすくするということが重要です。