異動の理由の回答義務

 

企業については基本的に人事異動については広範囲な権限を持っているといえます。

労働基準法その他で定めが特にないというところからもこれはいえることだと思います。

労働基準法での異動についての規定はどのようになっているのか?

そのため原則として

「会社は人事異動についてはその理由について答える義務はない

といって良いのではないかと思います。

ただし冒頭でも紹介しましたが、広範囲な人事権といっても完全に自由ということではありません。

つまり一定程度は企業の人事異動権というのは制限されているわけですから、それに該当するような場合には違法な人事異動ではないことを説明したり証明するためにも異動の理由を明らかにするべきとはいえるでしょう。

 

会社が異動を制限されるケースとは?

 

  • 不当な目的であることが疑われる異動
  • 業務上必要性のないことが疑われる異動
  • 通常甘受すべき程度を超える著しい不利益を従業員に生じる場合
  • 不当労働行為に該当するとき
  • 思想などを元に差別的待遇に該当するとき

 

などのケースでは会社の異動命令自体が無効となることもあります。

そのためこのようなケースに該当することが疑われる場合には労働者としてはその理由の説明を求めることもあるでしょうし、場合によってはそのまま退職を決定するということもあります。

上記を見ればわかりますが、要するに判例などで無効とされたようなケースに近いとか該当するというような場合にはその異動理由については説明しなければいけないといって良いと思います。

あとは妊娠、出産、などといったことで異動をさせるのも男女雇用機会均等法に違反していることになりますが、このような法律違反が疑われるような異動についてもその理由については説明する必要があるでしょう。

曖昧にごまかそうとする会社もあるかもしれませんが、訴訟を提起されないように理由を説明するとともにしっかりと労働者と話し合いをしておきましょう。

 

異動の理由の説明と法的な見解

 

上記の説明がややこしいので整理しておきますと

 

  • 異動の理由の説明には法的には義務はない
  • ただし異動について制限があるケースもあるのでその場合には理由の説明をして違法ではないことを証明する
  • 証明できないと異動する根拠もないので拒否されることもありえる

 

といった流れとなります。

誤解しやすいので明確にいっておきますが、異動理由を説明しなければいけないと明確にした法律や条文はないということです。

しかし違法性のある異動では、違法ではないことを証明するためにときには説明しなければいけないこともあるということです。

ただしそこまで行った段階ですでに労使の信頼関係は崩れているという可能性が高いので、説明したところで何かの金銭請求のようなトラブルに発展することも多いかもしれません。