就業規則にない異動

 

労働者が10人以上となれば就業規則を作成しなければいけません。

しかし場合によっては違法状態となっていてまだ就業規則がないといった場合もあります。

また就業規則がしっかりと熟慮されて作成されていなくてしてもらいたい異動の規定はなされていないということもあります。

このような状態で異動を命じる必要性が生じる場合もあるわけですが、

 

  • 就業規則に規定のないような異動ができるのか?
  • 強引に異動させることに問題があるのか?
  • その場合異動が無効となることはないのか?

 

といったことでトラブルとなることもあります。

 

就業規則に規定がないと異動はできないのか?

 

このように

 

  • 就業規則がない
  • 就業規則に異動の規定がない
  • 異動の規定が緩く想定しているような異動の規定となっていない

 

というような場合には原則として異動はできないとなります。

 

昭50.5.7 日本コロンビア事件 東京地裁

就業規則で「業務上の都合で転勤、配置転換を命ずることがある」旨の規定があれば、これはより強くあてはまる

 

ただし、では何でも良いので細かく通常はありえないような異動の規定もおいておけば良いのかといえばこれもリスクがあります。

たとえばグループ会社もないのに出向や転籍といった異動規定をおいている会社もありますが、このような場合には解雇権を狭めているといえます。

というのも解雇する前に規定をしている出向や転籍の措置をしてから解雇するべきとなることも多く、会社としては不利になることもあるからです。

この点、異動規定の方法というのは難しいのですが、細かく規定しすぎてもいけませんし、また規定しなさすぎも今回のように異動命令が出せないという2つのリスクがあることとなります。

ポイントとしては

 

  • 行う可能性がある異動の規定のみ置くこと
  • 行う可能性がない異動規定は絶対におかないこと

 

ということがいえます。

たとえばグループ会社もないのに、グループ会社への出向や転籍規定をおいている会社もよく見かけますが、これはかなりリスクがあるといえるでしょう。

 

就業規則にない異動命令をしたい

 

しかしあらゆるケースを想定した規定をすることは非常に難しいものです。

中には事情が変わって規定にない異動を命じることも必要なこともあります。

このような場合には例外的な措置として

「該当する労働者と話し合いをして異動について同意を得る」

という手続きが必要となってきます。

これと似たような効果は発生させるものとしては入社時の誓約書があります。

この誓約書の中に異動について規定をしておいて署名と印鑑をもらっておくということです。

法的効果としては異動のときに同意を得ておくことと、入社時の誓約書は強くおすすめしたい方法といえます。

就業規則の規定は包括的合意ですが、誓約書は個別合意といってより労働者の個別の意思を証明する手段といえます。

就業規則の作成や変更は労働者の同意は必要ではなく、意見を聴くということで足りますので慎重に手続きするならまず誓約書も合わせてとっておくことは非常に重要といえます。

そのため法的効果が強いといわれています。

異動について就業規則と照らして法的効力に迷いがあれば、迷わず同意をとるということが法的効力を保証すると考えて良いと思います。