内示拒否や断る



企業においては経営戦略などの一環でさまざまな人事異動を行います。

明日から転勤というような突然の人事異動は少ないでしょうし、またある程度の内示期間をおかないと法的にその異動が無効となってしまう場合もあります。

ただ異動の内示といっても労働者からすればそのすべてが自分の希望に沿ったものであるとはまったくいえませんし、ときには生活や家族などとの関係で拒否したくなうものもあるでしょう。

一般的には企業には広範囲な人事異動の権限が認められていますが、内示の段階で拒否すればどのようになるのかという点について今回はまとめておきたいと思います。

昇進の内示拒否



昭和の時代では昇進といえばそれに見合った給与アップとともに行われましたが、最近では仕事の責任だけ増えてそれに合う給与アップもないような昇進も増えてきています。

そのため昇進の内示を拒否したいという場合も多いかもしれません。

ただし昇進については企業には広範囲な権限を持っているというのが今の現状です。


  • 管理能力
  • 部下とのコミュニケーション能力



など昇進後の適格性に問題がないようであれば基本的に自由に昇進を命じることができるというように考えると良いでしょう。

転勤や職種変更の内示拒否



一方で転勤や職種変更の内示となれば決して好ましいものばかりではありません。

昇進の場合には責任が重くなるかわりにそれなりの給与アップなども期待できますが、負担だけという異動も多いかもしれません。

転勤や職種変更では


  • 入社時に転勤(職種変更)についての誓約書に同意をしている
  • 就業規則に転勤(職種変更)の規定がある
  • 他の労働者も転勤(職種変更)をしている実績がある
  • 労働契約書において勤務地(職種)限定の特約をおいていない



というような場合には転勤や職種変更の内示時点での合意がなくても転勤命令を下すことができます。

ということがいえます。

雇用契約書を入社時などに締結していると思いますが、そこで勤務地や職種を限定するようになっているものもあります。

その場合には労働者本人の合意がなければ異動はできません。

合意をして、そして新しい雇用契約を締結し、はじめて転勤や職種変更も可能となります。

降格の内示拒否



昇進の逆である降格もトラブルになりやすいといえます。

給与の減額や階級の低下を意味しますので、労働者からの反発は当然厳しくなります。

降格については


  • 就業規則や雇用契約書に降格の規定があり、本人に説明していたかどうか?
  • その降格の理由は正当なものかどうか?
  • 業務上の必要性があるかどうか?



などといったところがポイントとなるでしょう。

特に会社の腹いせのような降格も実際にはよくあるかもしれませんが、その呼格の理由を説明できないものは法的に無効となる確率もあるので注意しなければいけません。

異動の内示を拒否したときの退職



最近はひどい会社もあるようで、異動の内示を拒否すれば即座に退職を強要するようなところもあるようです。

法的には乱暴な対応といえますが、会社側からすれば


  • 就業規則にその異動命令があることを規定しているかどうか?
  • 内示の手続きは規定に沿っているかどうか?
  • その異動に合理性があるかどうか?
  • 内示拒否をされた場合には本人に説得する努力をしたかどうか?
  • 内示拒否の理由があればそれを解消した証拠があるかどうか?



などは揃えておくべきといえます。

会社によっては異動の内示拒否をすれば解雇すると安易な規定をおいている場合もあるようですが、法的根拠のない就業規則でも規定すれば何でも有効となるともいえません。

特に最近ではブラック士業も暗躍している時代で、その規定の法的根拠があるのか(判例に沿っているかなど)の判断を優先しなければいけません。

当然ですが、退職した後に労働審判や訴訟となった場合には就業規則でなく、実態で効力を判断されますのでいい加減な異動内示はしないほうが賢明です