異動を過去さかのぼる
通常、異動というのは内示という言葉もあるように将来に向かって効力を発揮するものです。
そのため過去にさかのぼって異動命令を出すということはないといっても良いでしょう。
しかし特定の条件が揃っていれば過去にさかのぼって異動命令を出すということも違法とはならないのではないかと推測します。
過去にさかのぼって異動命令を出すリスク
一番良くないのはやはり
「すでに過ぎた時間の異動命令をあらためて出す」
ということにあります。
内示という言葉もあるので不自然な印象は否定できません。
ただし明確に法律の条件で過去にさかのぼって異動命令を出してはいけないというものもありません。
これを根拠に過去にさかのぼって異動命令を出しても良いというように考える人もいるかもしれませんが、それでもやはりどうかと思います。
内示ということが異動にはありますが、これはただの習慣や慣習ではありません。
たとえば異動となったときには労働者には異動に先駆けて準備することがありますが、この準備期間と考えることとなります。
- 引越し準備
- 家族との話し合いや私生活の設計
- 仕事の引き継ぎやその準備期間
このような準備をすっ飛ばして異動ということを行うとその異動命令自体が法的に無効とされることもあります。
異動には法律には定めはないですが、判例に沿って対応や手続きをしなければいけないという制約は会社にあるわけですので、原則的には過去にさかのぼって異動をするということは避けるべきだといえます。
本人の同意があれば過去への異動も可能?
以下は今のところ判例でも争われたことはないと思います。
今も判例集を探していましたが、特に見つかりませんでした。
そのため以下に私の考えについて紹介しますが判例で判断されていないので100%の保証はできませんので、この点は了承しておいてください。
上記のような原則があったとしてもごくまれに過去にさかのぼった異動命令をしなければいけないということもないわけではありません。
この場合、当然ですが内示期間も置けませんし、突然の異動どころかすでに済んだ期間の異動命令となります。
済んだ期間についての異動ですのでもちろん不自然で超法規的ともいって良いのですが、
「本人の同意を得てから異動する」
ということであれば法的に有効となる可能性もあるのではないかと考えます。
もちろんこの場合、
- なぜ過去の異動を今になって行うのか?
- なぜ異動命令が遅れてしまったのか?
など丁寧な説明も必要とします。
その上で同意書について同意の署名や印鑑を取得しておきます。
このようにしておけば100%無効となるとはいえないと考えます。
ただしやり方がやり方ですので、可能であればやはり未来に向かって異動命令を出すことは望ましいことは言うまでもありません。
<スポンサード リンク>