職務遂行能力欠如での解雇の注意点

 

勤務成績・勤務態度が著しく悪くである場合には、解雇が有効となりえます。

しかしこの場合、必ず「社会通念上相当と認められる」ための解雇手続を行っていることが会社としては必要です。

勤務態度の指導・教育を行いそれでも直らないとき、勤務成績が著しく悪く指導・教育を行っても改善の見込みがないときに、はじめて解雇を検討するという手続が重要です。

いきなり解雇を行うと解雇無効となるリスクは非常に高いでしょう。

職務遂行能力の欠如による解雇では、能力・適格性が著しく、その回復・向上の見込みがないという状況でない限り、ほぼ解雇はできないと覚えておいてください。

 

職務遂行能力欠如の解雇の判例

 

昭58.12.14 東京地裁 リオ・ティント・ジンク社事件

「仕事のミスがおびただしく、上司の度重なる改善指示に従わず、改善の熱意もなく、勤務成績が不良で、職場内での協調性に欠け、上司の人格攻撃をもしばしば行う社員の解雇。

勤務成績が不良の場合の解雇では、使用者においてその是正のための努力をし、それにもかかわらずその職場から排除しなければ適性な経営秩序が保たれない場合にはじめて解雇が許されるとして、自己の事務処理の誤りにつき率直に反省・改善しようとする態度がないことから、当該解雇を有効とした。

 

昭49.11.26 東京地裁 日本エヌ・シー・アール事件

「無断欠勤、上司の指示に対する違反、職場の同僚に対する悪影響を及ぼす発言・常軌を逸する行為がたびたびあり、誓約書としての念書を入れた後もなんら改善されないでさらに繰り返した本件は、普通解雇は有効

 

昭49.7.2 東京地裁 ゼネラル事務機事件

「セールスマンの販売成績が著しく劣悪(同僚等の約9分の1程度)で、販売活動では予定訪問先をしばしば変更し販売活動に計画性がなく、上司がしばしば注意を与えたが改善のあとがみられなかった本件の普通解雇は有効。

 

平6.11.10 東京地裁 三井リース事件

すでに何度か配置転換を行っており、これ以上の配転により他の業務に就かせることはできないため、解雇は有効である。

 

昭60.11.20 東京地裁 雅叙園事件

総務経験者として採用したが、

  • タイムカードのチェック等の簡単な作業でも2日かかり、人事労務関係の書類の作成にもミスが多かったこと
  • 試用期間を延長した後も、給与計算や報告書のミスが何度注意されても直らず、仕事に対する注意力に欠けていたこと

などを理由とした本件本採用拒否について、有効とした。

 

平11.10.15 東京地裁 セガ・エンタープライゼズ事件

平成2年採用の大学院卒男性労働者が入社以降配属された部署で的確な業務遂行ができず、解雇直前の平成10年度の3回の人事考課がいずれも下位10%未満であり、同人の業務遂行が平均的な水準に達していなかった本件の解雇を、人事評価が相対評価であること等の理由から無効とした。

 

昭61.7.16 東京地裁 ジャパン・エクスポート・プロモーション事件

入社後14ヶ月間に新規契約を2件しかとれず、うち7ヶ月は最低の成績だった者について、解雇1ヶ月前は成績が向上していることから、解雇事由となるほどの能力不足に該当しないとして、解雇を無効とした。

 

判例のまとめ

 

上記の判例を見ますと、解雇が有効となるには、以下のようなことがいえると思います。

どちらにしても、解雇は会社にとって有効となるにくいといえます。

以下のように行うことはもちろん、入社して試用期間を長めにとり、従業員の資質を見切ることが非常に重要といえます。

 

  • 就業規則の規定内容が重要である
  • 勤務成績もかなりの劣悪さがないといけない
  • 遅刻等が多いなど1つの理由ではく、その他指示の無視など複数の行為がないといけない場合が多い
  • 必ず指導・教育を行い、改善がないという状況が必要