退職での意思表示の形式

 

法的に解雇・退職というのは分類されて定められていますが、実務ではなかなか線引きは難しい微妙な範囲もあります。

退職時には労使で少しもめ気味になるというケースもあり、労使のどちらから退職ということを言ったかで退職・解雇と分かれてしまうケースがあるからです。

このような場合、あとで必ず問題となるのが、退職・解雇の労使双方の認識の違いによって

 

失業給付の受給期間の長さ・金額

  • 解雇のほうが受給期間も長く、金額も多くなる

 

解雇予告手当の支給について

  • 退職の場合には支給されない

 

というようなことでもめることとなります。

そして感情的なことから、その後過去の残業代・社会保険の未加入問題など蒸し返され、会社としては行政から調査を受けてしまうということもあります。

退職の際には、

 

  • 口頭での退職の意思表示
  • メール等での退職の意思表示
  • 退職願
  • 退職届

 

いう3つの方法があります。

どれも意思表示としては法的に有効で、これらを根拠に解雇でなく退職といえます。

しかし口頭・メール等は、言った言わないという争いになることもよくあります。

メールでも誰かがなりすまして送信したと主張されれば、証拠能力としては低いといえます。

そのため、原則、退職願と退職届が一番良いと思います。

これだと明確に書類として労働者からの退職の意思が証拠として残り、争う余地もなくなってしまうからです。

 

退職届と退職願

 

退職願と退職届は法的性質は少し異なります。

退職願というのは、会社に提出しても労働者からの撤回は可能とされます。

この撤回は、会社として退職願を受理し、退職を承知したというような意思表示(書類での退職の辞令交付等)が出るまで可能とされます。

そのため、上記の例のようなすでにトラブルになりつつあるというような退職して欲しい従業員の場合、「退職届を提出してください」とするべきだろうと思います。

退職願の場合は、撤回の可能性も否定できませんので、避けるほうが良いと思います。

退職させず、できれば気持ちを入れ替えて在職して欲しいという従業員の場合、退職願を提出して、気持ちの翻意をうながすという時間かせぎに使うのも良いと思います。

 

退職についての手続のまとめ

 

退職が自己都合かどうかなどトラブルになりやすいので、下記の原則を守って、確実に退職の手続をとっておきましょう。

原則、退職届・願が出ている場合には、書類で自己都合退職との証拠となります。

その点でも、書類で退職の意思表示を残すことは重要といえます。

 

  • 退職して欲しい人には退職届の提出をさせる
  • 在職して欲しい人には退職願を提出させる
  • 口頭・メールでの退職の意思表示は証拠能力の低さという点で、法的に無効となる余地もある