制服がある業種では更衣時間が発生する

 

特に病院・クリニック・診療所の場合は、制服があるため、毎日更衣時間が発生します。

そのため更衣時間が労働時間かどうかは非常に重要と言えるでしょう。

毎日、15分程度の更衣時間であっても、積もれば、結構な人件費がかかってしまいます。

実際、更衣時間が労働時間であり、賃金を支払わないといけないのかどうかについては判例も分かれています。

 

更衣時間についての判例

 

更衣時間を労働時間であると認めた判例

  • 三菱重工業長崎造船所事件(最高裁:平成12.03)

 

労働時間ではないとしたもの

  • 日野自動車工業事件(東京高裁:昭和56.07)

 

判例に見る更衣時間についての判断基準

 

上記のように判断は裁判によって分かれています。

そのため難しいところですが、ある程度の上記裁判等で更衣時間が労働時間かどうかの認定基準のようなものが示されています。

 

判例に見る更衣時間が労働時間となるかどうかの判断基準

 

1、会社の命令(就業規則その他の慣行)として所定の更衣室において使用者の指揮命令を受けて更衣することが義務づけられ拘束されており、かつ服装についての点検がその場で行われているような場合

2、業務の性質上、作業服に着替えて作業しなければならないもので、服装管理を使用者が行っている場合

  • クリーンルーム作業のため制服の着用が必要
  • 警察
  • ホテルのボーイ、ガードマン
  • 消防士

3、一般従業員と違って、その業務の性質上特殊な服装をしなければならない場合

 

特に三菱重工業長崎造船所事件が病院・診療所の場合、重要な判断基準です。

この判例では、「私服で勤務することも自由としていないと労働時間となる」としています。

そのため、三菱重工業長崎造船所事件を見れば、まず、制服でしか勤務できないとしている病院・診療所での制服の着替えは労働時間となると言えるでしょう。

 

対処方法

 

更衣時間は多くの場合、労働時間となり、そのためその時間に対しての賃金の支給が必要という前提に立って対処方法を検討しなければなりません。

そのためには更衣手当を創設して、毎月定額を支給するという方法が考えられます。

 

更衣手当の創設

 

合理的な月あたりの更衣時間の概算を行い、「更衣手当」として一定額支給するという方法があります。

そうすれば、更衣時間の長い人も、それ以上支払う必要はないとなりやすいと言えます。