退職届提出と退職金

 

会社においてそれぞれの就業規則で

「退職の○日前に退職の申出を行い、退職届を提出する」

といった規定があるかと思います。

またこれとセットで、会社への退職届の提出時期が所定の時期でなかった場合には、

「退職金を減額する」

といたような規定をしているかもしれません。

しかし結論からいいますと

「このような規定自体が違法的であり、当然に退職金の減額も無効である可能性は高い」

ということです。

 

そもそも退職金を減額できるのは?

 

過去の判例でかなり確立されたこととして

 

名古屋地判 昭47.4.28 橋元運輸事件

退職金の全額を失わせるに足りる懲戒解雇の事由とは、永年の勤続の功を抹消してしまうほどの不信があったことを要す

 

この判例については以下でも紹介しました。

懲戒解雇と退職金

そもそも退職金の全額不支給は論外として、たとえ減額といっても会社に非常に厳しい判決が多いです。

例えば冒頭のような「退職日の○日前までに退職届を提出する」といった規定に違反したところで退職金を減額できるケースは稀であると考えられます。

 

業務の引継ぎ不足と退職金の減額

 

退職時のトラブルとして多いのが

「十分な引継ぎもなく退職されてしまう」

ということです。

この場合、極端なケースとして

「退職届を提出した翌日から有給休暇を使用するようになり結局引継ぎはまったくされなかった」

というようなことがあります。

出勤もなく、有給休暇を退職日まで消化するということであるので引継ぎがなされるはずもありません。

このような場合でも、原則として退職金の減額はできないとされています。

法律や判例を無視して減額に踏み切る会社も多いですが、退職時ということで訴訟や審判に持ち越されることも多く、そのほとんどで会社が満足できるような結果とはなりません。

 

会社の採用するべき対応

 

安易に減額を行う訴訟を提起されるのもつまりません。

もちろん訴訟を覚悟して減額するなら特に申し上げることもありません。

そのため個人的には退職金の減額をしない・できないということを想定し、話し合いによって引継ぎを行ってもらうという方法を採用します。

また有給休暇を消化したいということもあるでしょうから、このあたりの日程も調整します。

労働者からすれば退職ということで基本的にはその後会社がどうなろうが関係のないことであり、興味もないでしょう。

労働者の権利は法律で厚く設定されているので、丁寧に話し合いを行うしかないでしょう。