雇用契約を更新しない

 

有期雇用者の場合、雇用契約書等で雇用契約期間を労働者の署名・押印等をもらって契約していると思います。

その契約更新をしないという場合には、その契約期間が満了すれば、雇用契約は終了となり、賃金の支給等は必要ありません。

また、原則、雇用契約の満了という場合は、解雇ではなく退職という法的扱いとなります。

 

昭23.1.16 基発56号

一定の期間を定めて雇用した場合には、その期間が満了すれば、定年の到来と同じように労働契約が自動的に終了するので「解雇」ではなく、「退職」に該当する。

 

トラブルとなりやすいケース

 

しかし契約更新をしないというのが無制限に認められるわけではありません。

以下のように契約更新は形式的・あるいは杜撰な場合には、契約更新拒否が無効とされることがあります。

具体的には、以下のようなケースでは「契約更新拒否に解雇権濫用の法理が類推適用される」こととなります。

つまり、契約更新満了ということでなく、解雇であるとして解雇権濫用かどうかを判断されるということで、契約解消が格段に困難となるということです。

 

  • 契約更新に一定期間の規定はあるが、期間の定めがないとの労使双方の認識が合った場合
  • 契約更新の手続が非常にルーズで、実質的に期間の定めがないものと同様である場合

 

解雇権濫用の類推適用される要件

 

判例では以下の要件がそろえばそろうほど、解雇権濫用を類推適用する可能性が高くなるとしています。

つまり、雇用に臨時的性質が少なく、契約更新が多く・長く、会社の態度が契約更新に前向きであるほど、契約解消を困難にするということです。

 

  • 雇用の常用性
  • 契約更新の回数
  • 雇用の通算期間
  • 契約期間・更新手続などの管理状況
  • 契約更新の期待をもたせる言動・制度
  • 契約内容の合理性

 

「長く働いて欲しい」等の言動でも、会社に不利に働く判例もあります。

また、パートタイマー等に残業・休日労働・配転・休職等を規定している会社もありますが、このような正社員を前提とした制度を適用している場合には、契約解消は困難となります。

 

まとめ

 

裁判所では、上記の6つの要件を総合的に判断する傾向にあります。

明確に解雇権濫用法理を適用するしないの基準はないといえます。

しかしすでに雇用を通算で1年を超えて行っている者については、すでに「解雇権濫用法理適用の法的リスクは発生しはじめている」といえると思います。

1年未満の雇用契約のケースで、解雇となったケースはほとんどないからです。

少なくても、会社としては有期雇用者には毎回の契約更新の面談をしっかりと行うようにしましょう。