宿直と労働基準法

 

労働基準法第41条は、監視または断続的労働に従事する者で労働基準監督署長の許可を受けた者については、労働時間、休憩および休日に関する規定は適用しないとしています。

宿日直勤務も労働基準法第41条で定める「監視または断続的労働」に該当する場合があります。

 

労働基準監督署の許可

 

ただし、宿日直については、労働基準監督署の許可を得る必要があります。

もし許可を得れない場合、許可がない場合などは、宿日直の適用がないので、時間外割増の支払いが必要となります。

労働基準監督署の許可が下りる要件として以下があるとされています。

 

昭22.9.13 発基17号

  • 勤務態様は、定時的巡視、緊急の文書・電話の収受、非常事態に備えての待機になどに限ること
  • 宿日直手当は、宿日直勤務者の賃金の1人1日平均額の3分の1以上あること
  • 宿日直回数は、宿直は週1回、日直は月1回が限度であること
  • 宿直勤務については、睡眠設備が整備されていること

 

宿日直についての行政通達・判例

 

昭63.3.14 基発第150号

「許可の対象となる宿直勤務は週1回、日直勤務は月1回を限度とする。

なお、宿直勤務については、相当の睡眠設備の設置が必要である。」

 

昭40.10.18 名古屋地裁 検数協会名古屋事件

「宿直又は日直勤務で断続的な業務とは、・・・常態としてほとんど労働する必要のない勤務である」

 

以上の通達、判例からしますと、労働基準法施行規則第23条で想定している宿日直勤務者とは、「突発事故などがない場合はほとんど労働をすることのない労働者」としているように思います。

 

宿日直の特徴

 

宿日直で時間外割増賃金の支払いが必要ない

  • 労働基準監督署の許可が下りれば、通常勤務に加えて宿直をさせても残業とならず宿直となり、割増賃金の支給は必要ありません。

 

36協定の締結と届出は必要ありません。

  • 宿直であり、残業等ではないので、36協定がなくても、宿直をさせることができます。

 

社会福祉施設の宿日直の認可基準

 

昭49.7.26 基発387号

  • 一般の場合と同様、常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみが許可対象である。

 

昭49.7.26 基監発27号

  • 宿直回数の週1回原則の例外についても、「労働密度が薄く労働者保護に欠けるおそれがないと認められる場合に限り例外を認めうる」

 

昭49.7.26 基発第387号

1、社会福祉施設における宿直勤務については、次に掲げる条件のすべてを満たす場合に、労働基準法施行規則第23条による許可をあたえるよう取り扱うこと。

  • 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。
  • 夜間に従事する業務は、前記通達(昭和22年9月13日付け発基第17号)一般の宿直業務のほかは、少人数の入所児・者に対して行う夜尿起こし、おむつ取替え、検温等の介助作業であって、軽度かつ短時間の作業に限ること。(したがって、夜間における児童の生活指導、起床後の着衣指導等通常の労働と同態様の業務は含まれないこと。)
  • 夜間に十分睡眠がとりうること。
  • 上記以外に、一般の宿直許可の際の条件を満たしていること。

2、社会福祉施設に保母等が住み込んでいる場合、単にこれをもって宿直として取り扱う必要はないが、これらの者に前記通達で示されている一般の宿直業務及び上記1の2つめの業務を命ずる場合には、宿直業務として取り扱うことを要するものであること。

 

さらにこの基発第387号に追加・補足する形で厚生労働省からの見解の行政通達も出されています。

 

昭和49.7.26 基監発27号

(通達の性格)

1、社会福祉施設の宿直許可の基準(基発第387号)は、施設の特殊性からして特例を認め通達したものか。

(見解)

社会福祉施設における宿直許可の取扱いについては、従前示されていた一般の宿直許可基準のみでは明確でないので、その取扱いの細部を明らかにしたものであって特例を認めたものではない。

 

(軽度かつ短時間の作業)

2、

本通達に示された「軽度かつ短時間の作業」とは、どの程度の作業をいうのか。

(見解)

「軽度」とは,おむつ取替え、夜尿起こしであっても要介護者を抱きかかえる等身体に負担がかかる場合を含まず、「短時間」とは、通達に示された介助作業が一勤務中に1回ないし2回含まれていることを限定として、1回の所要時間が通常10分程度のものをいうものであること。

 

(事例1)

3、養護老人ホームで所定就業時間(8時から17時まで)終了後下記のような断続的勤務がある場合、おむつ取替えの時間(20時から21時)と着衣等介助、掃除の時間(6時から8時)は労働時間とし、これらの時間を除く17時から8時までを宿直とすることはできないか。

事例

  • 17時まで 所定就業時間
  • 17時から19時まで 見廻り(約10分)、宿直室で待機
  • 19時から20時まで 宿直室で待機
  • 20時から21時まで おむつ取替え
  • 21時から6時まで 宿直室で睡眠
  • 6時から8時まで 掃除、着衣等介助
  • 8時から 所定就業時間

(見解)

設問のごとく、常態的に毎晩おむつ取替えが1時間ある場合は、所定就業時間終了後(17時)から宿直とすることは認められない。

宿直は、通常の労働から完全に解放された後のものであり、したがって、この場合は、21時以降6時までが宿直許可の対象とされる。

 

4、上記の場合、睡眠時間中に老人の急病等のため介助することがあるが、その場合は如何に取り扱うべきか。

(見解)

労働基準法第33条又は労働基準法第36条に基づく時間外労働の手続きを行わなければならず、また、その時間に対応する時間外労働及び深夜業に対する割増賃金を支払わなければならない。

なお、このような介助作業が度々(たびたび)ある場合には、宿直の許可が与えられないこととなるので、交替制等の勤務体制が必要となること。