嘱託社員と労災休業

 

嘱託社員は有期労働契約という場合がほとんどだと思います。

労災保険の保険給付を受けて休業している間に雇止め(契約期間満了)という処分を受けることもあるようで、この場合は違法なのか適法なのかについて説明をします。

 

嘱託社員でも労災休業中の解雇は禁止

 

嘱託社員でも労働基準法の適用はあります。

嘱託社員と労働基準法や法律での適用関係

その労働基準法第19条において以下のような条文があります。

 

労働者が業務上の負傷をし、又は疾病にかかり療養で休業する期間及びその後の30日間は解雇してはならない

 

つまり嘱託社員の場合、労働契約期間の途中に解雇することは労災休業中その後の30日間はできないことが明白となります。

 

嘱託社員の労災休業中の期間満了

 

では嘱託社員の労働契約期間の満了だとどのようになるのかについてですが、この点について行政通達が出されています。

 

昭63・3・14基発第150号

業務上負傷し又は疾病にかかり療養のため休業する期間中の者の労働契約もその期間満了とともに労働契約は終了するものであって、法第19条第1項の適用はない

 

つまり有期の労働契約の期間満了だと労働基準法第19条1項の適用はなく、そのまま退職となるということです。

ただし嘱託社員でも有期労働契約を反復更新し相当期間にわたって労働関係が継続している場合には、契約期間満了ではなく解雇となる場合もあります。

相当期間というのは判例でもいろいろと判断されていますが、現在は有期労働契約は5年で無期化するという労働契約法の条文があるのでまず5年というのは1つの基準となります。

さすがに通算雇用期間が1年未満という場合には解雇となるケースは少ないようですが、判例では3年程度以上の通算雇用期間となれば解雇と判断する向きもあります。

(たとえば1年の有期労働契約を2回更新し3年など)

ただしそれ以下の年数でも実態によって十分に解雇と解釈される可能性はあります。

ただしどちらにしても解雇になるのかどうかは労使間での話し合いとなり、また代理人を入れて訴訟などとなります。

費用と手間をかけてそこまで争うのかどうかにも話はなってくるといえます。

個別ケースで年数について判断するのはあくまでも裁判所となります。

また勝訴したところでまた戻って働けるかという問題もあるので、どこまで解雇かどうかを争うのかは個々の判断といえます。

 

嘱託社員の退職と労災保険の給付の継続

 

退職となればその後在籍とはならず仕事ができないので給与も入ってこないとなります。

ただし労災保険では退職となっても国からの労災保険の保険給付は継続します。

退職となったことで労災保険の保険給付がストップするということにはなりませんので安心して良いでしょう。

 

労災以外で退職時に嘱託社員がトラブルになりやすいこと

 

上記のように期間満了となれば労災休業中でも不利なケースが多いかもしれません。

ただし他にも労災以外い退職時にはトラブルとなるケースがあります。

 

  • 失業保険の自己都合、会社都合の離職理由でのトラブル
  • 最低賃金未満の賃金についてのトラブル
  • 残業代が未払いとなっているトラブル
  • 有給休暇についてのトラブル
  • 退職金や賞与についてのトラブル

 

これらについてはそれぞれの管轄や相談先を列挙しますと

 

  • ハローワーク  失業保険
  • 労働基準監督署 残業代、最低賃金
  • 弁護士、訴訟  退職金、賞与

 

このようになります。

何でも労働基準監督署に相談するという人も多いのですが、管轄があるので一応把握してから適切な機関などに相談していきましょう。