嘱託社員を部長にしたい

 

定年後の再雇用で嘱託社員とした場合にはもともとその会社でのキャリアや経験などが十分にあるということはよくあります。

嘱託となれば給与が下がることが普通ですが、職位を

 

  • 部長
  • 課長
  • 係長
  • 役員

 

といったところにつけて仕事をして欲しいと思うことはあるかもしれません。

このような場合に法的にどのような無理やリスクがあるのかについて今回は説明をしたいと思います。

 

嘱託社員と同一労働同一賃金

 

安倍政権になってから特にニュースなどで使われることが多くなったのが

「同一労働同一賃金」

といった概念です。

これは仕事内容と賃金とのバランスが取れていないといけないというものですが、意外と知られていないのですが日本の判例でのごくすでに採用されているものもあります。

丸子警報器事件(長野地裁上田支部)がこの同一労働同一賃金では有名です、この議論が出てきやすいのが正社員と非正規労働者との賃金の差に合理的理由があるかどうかといった場合になります。

つまり嘱託社員でもこの議論をさせてしまうと正社員との賃金の差額を請求されてしまうこともあるということです。

 

嘱託社員を部長にする法的リスク

 

部長ということが当然会社の中心的な存在ということであり、またそれだけ

 

  • 責任
  • 仕事のハードさ
  • 労働時間の長さ
  • 能力

 

といったことを求められるわけです。

最悪のパターンとしてはすぐ横に正社員部長も存在しているかもしれませんが、大して労働条件が違わないのに賃金が違うというのはどう見ても合理的理由がないといえます。

労働時間を短くする、仕事量を減らす、責任を減らそうというように強引に立場の軽い部長を創設する会社もあるかもしれませんが、それでも完全に法的リスクがなくなるかはわかりません。

 

嘱託社員を部長にどうしてもしたい場合の対策

 

ではどうしても部長などにしたい場合にどのようにすれば良いのかですが、

 

  • 部長以下の正社員の賃金よりも高い給与体系とする
  • 嘱託社員でなく正社員契約とする
  • 会社の定年規定の年齢を超えていれば、その定年の年齢も引き上げる

 

このような対応が必要となってくるでしょう。

当然ですが他の正社員の定年も上がるので会社としては賃金の高い高齢者が植えるリスクは増大してきます。

 

嘱託社員を部長にするべきかどうかのまとめ

 

上記のように法律や判例に沿った状態で嘱託社員を無理なく部長などにするのは非常に難しいですし、会社全体のバランスも崩すことになります。

また時給制といった通常の嘱託社員で部長などにするのも丸子警報器事件のような訴訟となればどうにもなりません。

さらに時給で責任の重い部長などは割に合わないとされて仕事のモチベーションが低くなることも否定できません。

そのため個人的には嘱託社員は通常通りに

 

  • 時給など正社員時代よりも賃金を落とす
  • パートなどよりも専門性が高い仕事もやや担当してもらう
  • 賃金と見合うように責任の重い役職には一切つけない

 

という運営が自然といえます。