年俸制では退職時期が早いタイミングにしなければいけないというような話を聞いたことのある人も多いかもしれません。

しかしすべての年俸制でそういえるわけでもありません。

今回はトラブルをなくすための年俸制での退職手続きについてまとめて解説したいと思います。

 

年俸制と民法での退職時期

 

年俸制では民法第627条3項に3ヶ月前という定めがあります。

 

第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

3、六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。

 

しかし判例でも年俸制では3ヶ月前に退職の通知をしなければいけない統一されてはいません。

また例外として即日に退職できるケースもあります。

 

年俸制の退職時期でまず確認するべきこと

 

民法はひとまずおいておき、次に重要なことはその企業の就業規則の内容です。

たとえ年俸制であっても就業規則に退職の申し出は1ヶ月前までに行うなどというような規定があれば1ヶ月前で構いません。

このような企業の規定は民法に優先するというようにいえます。

 

年俸制と民法第628条による退職

 

また民法第628条による即日退職という可能性もなくはありません。

 

第628条(やむを得ない事由による雇用の解除)

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。

この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

 

つまりやむを得ない事由があるとただちに退職できるということですが、やむを得ないというのは法的にはかなり高いハードルが必要とされます。

たとえば病気や怪我によって労務提供ができなくなったときなどです。

ただ注意して欲しいのはこのやむを得ない事由についてケースが具体的に定められていないということです。

厚生労働省の通達では

 

「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものである(平成20年1月23日基発第0123004号)

 

というようになっていますが、個別のケースを例示してはいません。

 

年俸制の退職時期を損害賠償なく行う方法

 

年俸制では悪くいくと民法第628条によって損害賠償のリスクもないわけではありません。

そのため安全に退職していくためには

 

  • 就業規則での退職時期の規定をしっかりと確認する
  • 3ヶ月など長い期間となっていれば企業との退職時期の合意を形成する

 

というような方法を行います。

もちろん2つめの退職時期の話し合いをしていく中で企業が3ヶ月に固執してくることもありますが、上でもいいまたように民法第628条のやむを得ない事由がないのであれば3ヶ月などとするしかないこともあります。

年俸制での退職では、次の転職先への入社時期の兼ね合いもあるかと思いますが、これについては下のようになります。

 

  • 損害賠償のリスクをとりたくないなら一旦3ヶ月前に退職して、その後転職する
  • 在職中の転職にこだわるのであれば1ヶ月などの退職について会社とよく話し合い、合意を取ってからにする

 

というようになります。

 

契約期間を定めていない年俸制での退職時期とは?

 

年俸制でも契約期間を区切って契約していないこともあります。

このときにもやはり民法第627条3項にある3ヶ月前の退職の申し出が適用されると考えます。

 

就業規則や労働契約書のない企業での年俸制の退職時期

 

さらに就業規則や労働契約書といった書類のないような企業もあるかと思います。

口頭でも良いので退職時期など契約事項につて約束ごとがあればそれを適用しても良いのですが、そのようなこともないのであれば

 

  • まずは民法第627条3項にある3ヶ月前の退職時期が1つの目安となる
  • あらためて退職について会社と話し合い別のタイミング(3ヶ月以内)で合意できればそれを優先する

 

というようにしていきます。

 

年俸制での退職時期と残業代

 

年俸制というのは企業も法律をあまり知らないまま導入していたり、運用していることもかなり多いです。

そのため違法の温床となっていることも多く、残業代が出ないなどというようなこともあります。

 

参照

年俸制でも残業代の支払いは必要

 

年俸制では一度入社してしまうと今回のように苦労することもあるので、よく企業を見極めて入社を決定するようにしましょう。