労働基準法第16条では賠償予定の禁止という定めがあります。

よく遅刻などがあれば制裁的な意味で罰金というような制度を導入している企業もあるわけですが、この第16条的には違法となるのでしょうか?

この第16条の賠償予定の禁止については理解するのが難しいといわれますが、今回は遅刻とのパターンを例にして解説をしたいと思います。

 

労働基準法第16条の内容

 

労働基準法第16条(賠償予定の禁止)

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

 

というのがこの賠償予定の禁止での内容となります。

条文の内容としては曖昧なのでよくわからないわけですが、一言でいえば

 

実際の損害額に関係のない金額を損害賠償させることが違法」

 

ということです。

もう少しこの損害賠償の予定についてケースごとに違いを説明していきます。

 

遅刻でのペイオフと損害賠償の予定

 

今回の遅刻ではよくあるのが2つのパターンとなります。

 

  • 欠勤分の賃金を減額すること
  • 欠勤分の賃金とは関係なく〇万円の損害賠償をさせること

 

結論からいいますと1つめは違法ではなくて、2つめは違法となります。

1つめでは

 

  • 日給月給制     月額25万
  • 月平均所定労働時間 160時間

 

とこのような労働者がいたとします。

この場合遅刻を30分したときには

 

  • 時給       25万 ÷ 160時間 = 1562.5円
  • 遅刻30分の減額 1562.5円 × 0.5時間 = 781円

 

遅刻によって不就労の部分の賃金を正確に計算し、この781円を減額することは賠償予定の禁止からして違法ではありません。

しかし遅刻一回で〇万円などと最初から賠償額を予定しているようなルールは違法ということです。

 

賠償予定の禁止と資格取得費用

 

この賠償予定の禁止の定めは遅刻以外でもいくつかの項目でよく問題となりますが、まずその1つに資格取得費用があります。

たとえば

 

  • 会社が労働者の資格取得費用を助成する
  • そこから〇年以内に退職すれば資格取得費用を返還させる

 

というものです。

この場合、やや特殊なこととしては資格取得費用といった実費弁済でも違法となりえるということです。

確実に違法としないためには消費貸借契約にしてこの資格取得費用について契約しなければいけません。

他にも資格取得費用について違法としないために条件がいくつかあるのですが、詳しくは下のページに解説していますので参考にしてほしいと思います。

 

研修費の返還の違法性

 

賠償予定の禁止、その他のケース

 

他にも賠償予定の禁止が関係してくるケースといえば

 

  • 突然の退職
  • 備品などの故障

 

となります。

備品損壊などでは実費弁償であれば良いのですが、やはり遅刻と同様に備品の故障1回で〇万円というようなルールは違法となります。

突然の退職についてはかなり多くの労働者が心配することですが、基本的に賠償請求されることもないでしょうし、またされても無視していても訴訟になっても会社に勝ち目はあまりありません。

 

参照

突然退職した社員への損害賠償

 

突然の退職では

 

  • 穴埋めの人件費
  • 予想外の求人費用

 

などが発生する可能性はありますが、これらは通常労働者に請求できないことが多いです。

仮に社会人として良くはありませんが、即日退職などになっても損害賠償というのは今のところはないとまずいえます。