始末書とは



始末書とは、懲戒処分の1つです。

したがって、就業規則での規定なしに始末書の提出を求めることはできません。

始末書は、労働者に自己の非を謝罪させるという意味を持つといえます。

法的には、始末書の提出は、「労働者に懲戒処分に該当する行為をした」ことについて認めさせるという性格があり、裁判等では証拠資料ともなる、重要な書類証拠となります。

ですので、労働者としては、事実でないことについての始末書には慎重に対応して印鑑等を押さないという方も多くなってきています。

始末書の記載事項



始末書には一般には以下の事項を記載します。

  • 件名
  • 日時や時刻
  • 場所
  • 実際に自分が行った行為
  • その動機・理由
  • 改善・誓約すること

始末書の提出を強制できるか?



始末書は裁判で以下のように定義され、そのため無制限に提出を強制はできません。

少なくても、就業規則での規定なしに強制することは困難といえるでしょう。


昭53.1.11 大阪地堺支判 丸十東鋼運輸倉庫事件 
「労働者の思想、良心、信条等と微妙にかかわる内的意思の表白を求めるもの」

始末書についての判例



始末書について、提出しないという従業員もありと思います。

しかしこの場合の法的に適切な対応というのは、現在まだ固まっていないというのが実情です。

始末書についての判例数も少なく、そして学説での議論も進んでいません。

そのため下記の判例に沿って、慎重に始末書拒否があっても、解雇等はできないと解釈すべきかと思います。


昭53.10.27 大阪高判 福知山信用金庫事件 

「本件の内容のような始末書の提出の強制は個人の良心の自由にかかわる問題を含んでおり、労働者と使用者が対等な立場において労務の提供と賃金の支払いを約する近代的労働契約のもとでは、誓約書を提出しないこと自体を企業秩序に対する紊乱行為とみたり、特に悪い情状とみることは相当でない」

始末書を提出しない場合の対応



始末書を提出しない場合には、後に解雇を行う場合には、1つの材料と捉えて対応すべきかと思います。

始末書を提出しないことは、「反省をしない」という1つの労働者の意思の表れとも解釈できなくもありません。

そのため、始末書を指示したが、提出をしなかったという事実を記録しておきましょう。