残業拒否と懲戒処分



会社においては所定労働時間があり、所定の始業・終業時刻があります。

最近ではこのような所定労働時間の外の時間外労働を命じても拒否するという事例も起こるようになってきました。

ただ、


  • 正社員ではない
    正社員ではないものに時間外労働・休日労働は原則させられない

  • 早く帰宅し親などの介護の用事があるといった合理的理由がある

  • 残業代が出ない



このようなケースでは会社に時間外労働の命令権があるかは微妙です。

ないと判断されることも多いと思います。

そのためこのような事例に該当する場合、「時間外労働を拒否した」ということではなく、会社が「不当に時間外労働の命令をしている」となります。

しかし正当な業務命令としての時間外労働の命令を拒否するという場合には会社としては問題視することとなります。

スルーすると規律が守れなくなってくるので対応していかないといけません。

まず対応としては懲戒処分からスタートします。

この懲戒処分は就業規則がないと実施できませんので注意してください。

(就業規則がないと会社は懲戒権を持っていないとなります)

妥当な懲戒処分は



当然ですが、いきなり懲戒解雇などが適法となることはまずありません。

一度目はけん責などが良いと思います。

けん責で始末書なども取ることもありますが、原則そこで会社として「月45時間以内」といった妥当な残業の場合、行ってもらわないといけないということを説明します。

しかしここまで実施しても是正されず、再度時間外労働を拒否するということもあります。

この場合、以前にけん責で将来を戒めたはずです。

従業員にも会社としての趣旨も通知されているはずです。

そのためもう一段重い懲戒処分を適用します。

減給などが適当ではないかと思います。

さらに改善がなされないという場合、降格も検討しましょう。

当然ですが、毎回処分のたびに経緯などは記録しておきましょう。

時間外労働拒否は解雇となりえる



ここまでくると普通は改善されますが、まだ改善されないこともあります。

この場合、懲戒解雇を有効とする判例もあります。

(平3.11.28 最高裁 日立製作所武蔵工場事件)

しかしその要件としては


  • 36協定が締結・届出されている

  • 就業規則に残業があり、会社がそれを命じる可能性があることを規定している

  • 残業拒否についての懲戒処分規定がある
    (悪質な残業拒否は懲戒解雇することがあるような規定となっている)



といったすべての要件がないと懲戒解雇をしても無効となる可能性があります。

懲戒解雇というと法的有効性のハードルが高くなるので、慎重に手続するなら普通解雇を採用するほうが無難だといえます。