有給休暇の按分付与

 

退職のタイミングによって有給休暇を按分付与したいという質問も非常に経営者側から多いようですので、今回はこれについて説明をしたいと思います。

 

有給休暇の按分付与とは?

 

たとえばある労働者が以下のような状況だったとします。

 

  • 正社員
  • 入社日 平成27年4月1日
  • 退職日 平成28年10月31日

 

この場合、まず平成27年10月1日に10日の有給休暇が自動的に法律上発生します。

そしてそれ以後は1年ごとに有給休暇が発生するわけですので、平成28年10月1日にも11日の有給休暇の発生となります。

しかし今回のケースではその発生から1ヶ月以内の退職が決まっていて、ひょっとすれば平成28年10月1日の段階ですでに退職の話は会社のほうにも来ているかもしれません。

会社とすれば1ヶ月以内に退職するような労働者に満額の11日の有給休暇を発生させるということ自体がナンセンスのような感じもするようで、このようなときに

11日 ÷ 12ヶ月 × 1ヶ月 = 約1日

など按分して在職する期間に応じた有給休暇の付与では違法なのかと思うことがあるようです。

 

労働基準法では按分付与の観点はない

 

結論からいいますと退職が近いかどうかは関係なく、11日の有給休暇が自動的に発生します。

これは比例付与となっている非正規労働者すべてで同様の処置となって、比例付与に応じた日数がやはり満額発生します。

按分付与という概念自体が労働基準法にはないのでほぼすべての場合で違法と解釈されるのではないかと思います。

パートタイマーに有給休暇を認めないことは正当か?

 

そもそも有給休暇が発生する理由とは?

 

  • 入社日      平成27年4月1日
  • 初回の有給発生日 平成27年10月1日
  • 次の有給発生日  平成28年10月1日
  • 退職日      平成28年10月31日

 

と今回の例でいえばなります。

2回目の平成28年10月1日の11日の有給休暇の発生がおかしいということですが、この11日の有給休暇とは

「それまでの1年間の出勤率を元に算出されている」

ということで簡単にいえばその前の過去の一年間の勤務に対して発生するものです。

按分付与という考えはつまりは過去の労働者の勤務に対して、先に働いているのにその対償を支給しないことと同義となります。

そのため違法となります。

 

入社時に基準日で有給休暇を付与する場合と按分付与

 

  • 入社日      平成27年4月1日(即日に10日の有給付与)
  • 次の有給発生日  平成28年4月1日(11日発生)
  • 退職日      平成28年4月30日

 

このように入社時に同日に有給休暇を付与するような基準日付与という形態もあります。

労働者数が多くなれば有給休暇の管理が楽になるから採用されることもあるのですが、平成28年4月1日の段階で按分付与して11日の一部しか有給を付与しないということも違法的といって良いでしょう。

たしかに通常通りに有給休暇を運用すれば

 

  • 初回の有給発生日 平成27年10月1日(10日)
  • 次の有給発生日  平成28年10月1日

 

となります。

従って28年4月30に退職となれば基準日形式では

10日 + 11日 × 1ヶ月 ÷ 12か月 = 約11日

などとなって通常の労働基準法以上の有給休暇を付与していて違法性はないように思います。

しかし基準日形式で運用していても

 

  • 就業規則に退職時の按分規定がない
  • もともと労働基準法に按分付与という概念がない

 

ということで労働基準監督署としては適法と判断することはまず少ないか、ないといって良いのではないかと思います。

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