給与体系の類型

 

給与体系にはいくつかの形式があります。

 

  • 月給制
  • 日給月給制
  • 日給制
  • 年俸制
  • 時給制

 

上記の給与制度はどれも合法で、違法ではありません。

会社ごとの事情によってどれかを採用することができるとされます。

しかし一番難しいのは、日給月給制かもしれません。

労働者からも一番、欠勤分が控除されるのはなぜと照会を受けます。

 

月給制と日給月給制

 

月給制は、「月給○○万」と固定給与となります。

遅刻・早退・欠勤があっても、その時間分の控除は原則ありません。

しかし日給月給制というのは、「月○○万」という基本給等はあるものの、遅刻・早退・欠勤の時間分は控除するという制度です。

そのため、入社時に、「日給月給制で遅刻・早退・欠勤の時間分は控除します」と伝えておかないとトラブルになることもあります。

 

日給月給制とは

 

日給月給制とは、日給制度をもとにした制度です。

日給制度をもとにしているので、給与計算は1日ごとに行うが、支払いは1ヶ月単位で行うという制度です。

日雇制度をもとにして、給与の支払いは月1回の給与支払日にまとめて支払うということで、経費の支出を日給制よりも遅らせることができます。

現在、多くの中小企業ではこの日給月給制を採用していると思います。

また大企業でも、特に有期雇用者(契約社員等)ではかなり採用されています。

会社のメリットとしては、

 

  • 欠勤分の賃金が発生しない
  • 人件費の支出を月1回の給与支払日まで遅らせることができる

 

などがあります。

 

日給月給制の採用方法

 

日給月給制に限らず、すべての給与支払形態については、就業規則、その他の労働契約書等でしっかりと規定しなければなりません。

トラブルになった際に、どの給与形態を採用しているか明記した証拠書類がない場合、思わぬ人件費の損が発生することもありますので、注意が必要です。

 

正社員に日給月給制を適用するのは違法?

 

かつて日本では正社員は月給制という時代もありました。

しかし最近は正社員でも日給月給制の企業がかなり多くなっているといっても良いです。

特に労働基準法をはじめとした法律で正社員の給与体系は月給制でないといけないということも定められていませんので違法性はないといっても良いです。

正社員といっても月給制、日給月給制はもちろんのこと、年俸制、時給制などでも違法とはなりません。

 

日給月給制っぽいがそうではない紛らわしい給与体系

 

2014年10月追記

よく疑問に思う方がいるようなので以下についても紹介しておきます。

たとえば

 

  • 一日 8000円
  • 月ごとに出勤日数によって支給額を計算していく

 

このような給与体系があります。

これだとたとえば20日出勤で16万、21日出勤の月は16.8万となります。

この場合、月の出勤日数によって給与額が毎月上下しますが、これは日給月給制ではなく、ただの日給制です。

また

 

  • 時間給 1000円
  • 1日 8時間労働
  • やはり出勤日数や時間によって月ごとに給与額が上下する

 

これも日給月給制ではありません。

この場合、日給制でもなく時給制となります。

日給月給制とは、月給制の変則形態であり、基本的な支給額は出勤日数にかかわらずに一定額として毎月同額です。

上記にも記載しましたが、ここから欠勤等があったときに控除するのが日給月給制です。

出勤日数によって積み増していくようなものは日給制や時給制となります。

 

日給月給制と残業代の金額

 

日給月給制では勤務していない部分の賃金が控除されるので残業代も減ってしまうのではないかというように考える人も多いのですが、結論としては同じといっても良いです。

たとえば下のようなケースがあったとします。

 

  • 日給月給制     月額20万
  • 月平均所定労働時間 168時間
  • 欠勤        2日あり
  • 残業時間数     3時間

 

この場合、このケースでの時給から残業代を計算しますと

 

20万 ÷ 168時間 × 1.25 × 3時間 = 4464.2円

 

というようになります。

計算式を見れば欠勤を特にカウントしないことがわかりますが、つまり月給制で20万というときも残業代の金額は変わらないということです。

ちなみにこの時給の金額は休日労働や深夜労働でも使用するので休日労働手当や深夜労働手当の金額も特に月給制と比較して不利にはならないということです。

 

日給月給制と賞与、退職金の支給義務

 

日給月給制と賞与、退職金の支給義務の有無というのは直接関係してきません。

つまり日給月給制でも賞与や退職金を支給する義務が出てくることもあれば、支給義務がないこともあるということです。

また賞与や退職金というのは正社員かどうかも関係しないのですが、ポイントは就業規則の規定がどのようになっているのかということになります。

つまり日給月給制であってもなくても就業規則で支給するようになっていれば賞与も退職金も支給しなければいけませんし、そうではないのであれば特に支給する義務も出てこないということになります。

 

日給月給制と昇給

 

年によっては昇給ということも出てくるわけですが、昇給について日給月給制では不利となるのでしょうか?

結論からいいますとノーです。

正確にいいますと会社の昇給のさせ方次第といえます。

昇給についても特にどのように昇給させないといけないというような法律の定めはありません。

そのため日給月給制なので昇給幅が小さくなるという直接の関係性もないということです。

昇給に関していえば

 

  • その企業の経営体力や利益
  • その企業の昇給制度の内容

 

によります。

そのためこれらの要件がある企業であれば日給月給制であっても月給制の企業よりも昇給幅が大きくなるということも少なくないでしょう。

 

日給月給制と有給休暇の日数

 

日給月給制では有給休暇の発生日数の多さでも不利になるのではないかという質問もときどきありますが、結論からいいますと月給制と変わりありません。

というのも有給休暇というのは所定労働日数によって生じるので、特に月給制と有給休暇の発生日数のカウント方法で変わりがないからとなります。

さらに有給休暇を取得した日の賃金についても特に日給月給制で不利になるということもありません。

有給休暇の日の賃金では平均賃金という概念を使用しますが、

 

「算定事由発生日以前3月に支払われた賃金の総額」を「算定事由発生日以前3月の総日数」で除した金額

 

というようにして計算します。

日給月給制ではこの3ヶ月に支給された賃金で遅刻、早退、欠勤で控除された賃金があれば多少平均賃金が下がるために有給休暇日の賃金も低くなるというようにはいえます。

ただまったく控除された賃金がないのであれば月給制と有給休暇日の賃金に違いは出てきません。

 

日給月給制とその他の賃金控除によって影響の出てくるもの

 

平均賃金で控除されたものがあれば多少影響することも出てくるのがこの日給月給制です。

他に平均賃金を使用するものにどのようなものがあるのでしょうか?

 

  • 解雇予告手当(労働基準法第20条)
  • 休業手当(労働基準法第26条)
  • 減給制裁(労働基準法第91条)
  • 労災保険の給付

 

特に関係してくるのはこのようなときとなります。

ただし解雇されない、また懲戒処分も受けない、業務上怪我をしにくい業種や職種などであれば日給月給制でもデメリットも出てこないとなります。

 

日給月給制と退職時の給与額

 

退職となるとその給与計算期間すべてを勤務せずに途中退職となることも多いです。

この場合には日給月給制では勤務しない部分の賃金を支払わないというようになることが多いと思います。

ただし無条件に退職時の給与額を減額しても良いということでなく、就業規則等で退職時には実際に勤務した時間について日割りで給与を支給するというような規定をおくほうが良いでしょう。

そのために退職時には最後の給与額よりも控除する社会保険料のほうが高くなり、控除しきれないことも出てきます。

この場合には

 

  • 控除しきれない社会保険料を請求して会社に支払ってもらう
  • できればこの旨も就業規則に規定しておく

 

というようにします。

 

日給月給制と社会保険

 

この日給月給制について従来の月給制とあまり違うことはありません。

日給月給制であれば社会保険の加入義務も同じ規定が適用されますし、その他もほぼ月給制と違いはないと考えて良いです。

その他賃金

こちらのカテゴリーで日給月給制についてはいくつか説明をしていますし、今後もコンテンツ追加をしていくこともあるのですが、通常の月給制と違わないことが多いと覚えておくと良いでしょう。

 

  • 欠勤分の賃金をカットする
  • 遅刻、早退などの賃金をカットする
  • 労災の休業補償でやや支給額に差が出る

 

というような数少ない違いはあるのですが、それ以外では違いはないといって良いでしょう。

日給月給制なので社会保険に加入しなくても良いというような企業があればまず違法企業といって良いでしょう。

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